研究室アルバム
このページでは、資源生態分野の日常生活と研究活動を、写真でご紹介します。2012年5月に河村知彦准教授が、国際沿岸海洋研究センター生物資源再生分野の教授に就任したことで、ベントス研究を行う学生の所属も同分野に変更となりました。しかし、国際沿岸海洋研究センターの研究実験棟が岩手県大槌町に再建されるまでの間は引き続き、2つの分野は柏キャンパスのひとつの研究室で研究活動を行っています。
 資源生態分野のこれまで
2010年4月に、千葉県柏市に移転し、大気海洋研究所となりました。きれいで立派な研究所で、毎日、楽しく研究しています。資源生態分野は6階です。 2012年11月、渡邊良朗教授の還暦祝賀会での一枚。渡邊教授が教員として着任してから17年の間に研究室を巣立った卒業生、現役学生が一堂に会しました。 資源生態分野では開催頻度はあまり高くありませんが、節目ごとに飲み会(食事会)を開いています。先日は部門で恒例となっている暑気払いバーベキューの後、カラオケに繰り出しました。 中野南台に海洋研があった時期の貴重な一枚。移転直前のある日、長くお世話になったうどん屋「長野屋」に、偶然、資源生態分野のメンバー全員が集合したのです!
 調査風景@淡青丸航海(KT-11-18次航海)
カタクチイワシなど多獲性魚類を研究対象とする学生は、年に数回、数週間〜1カ月程度の調査航海に参加することがあります。 調査内容によって調査船は様々ですが、淡青丸航海では、採集調査に学生が参加できます。最初は戸惑うこともたくさんありますが、だんだん慣れて、スムーズに動けるようになってくるととても楽しいです。 淡青丸は決して大きな船ではないので、誰かしら船酔いになります。航行中のソーティング(仕分け作業)により、さらに酔いが加速するのです。合掌。 作業は主に夜間に行われます。これはニューストンネットを投入しているところです。ワッチ(班)によっては昼夜逆転の生活となりますが、それもまた一興。
CTDを用いた海況調査。CTDとは電解度(=塩分)、水温、水深を測定する精密機械です。 昼間にあまりやることがない場合には、海鳥を観察したり、彼のように釣りを楽しむこともできます。手にしているのは大きなソイ。 ようやく帰港。柏に帰ったら、膨大な量のサンプルを処理しなければならないのですが、今日だけは忘れてしまいましょう。 帰港日の夜、函館山に夜景を見に行きました。美しく、懐かしい人工の光。
 アサリの摂餌生態および消化・吸収機構に関する研究
日本の食卓ではお馴染みのアサリも、天然環境での生態は実はまだよくわかっていません。例えば、何を食べているのか、食べた餌料がどう消化されていくのかはいまだに不明なのです。 アサリの好適な餌料を探すために、野外で採集した試料から珪藻を1細胞ずつ分離し、培養して増やしてから、電子顕微鏡で撮影し、種を同定します。根気のいる作業です。 実験に用いるアサリには干潟で採集してきたものを使います。ちゃんと個体数が揃えばまずは一安心。苦労した分、実験が成功した時の喜びはひとしお。 実験に用いたアサリ数十個体の殻長と重量を測定しています。これもまた地味で単調な作業ですが、本人は楽しんでいるようで笑顔がうかがえます。
 アワビ類の繁殖および行動に係る研究
アワビ類もまた資源量が回復しない資源生物です。資源管理のための保護区を設計するにあたって、例えば親貝がどれくらい移動するか、という知見が必要です。アワビ類は夜行性とされていますが、そうであるならば野外での観察は難しいでしょう。 実際にはアワビ類の行動について十分な研究が行われていません。また、クロアワビ、エゾアワビ、トコブシなどすべてのアワビ類が同じような行動をするとも 限りません。資源生物の生態には、このような証拠不十分な「言い伝え」が多くあります。それらを鵜呑みにせず、一つ一つ確認していくことが重要です。 そこで観察実験を行います。ただし、実験をデザインするうえでは、実験条件下だけでなく天然条件下でもそのような生態と言えるか、という点について気を付 けなければなりません。この場合、研究所内の水槽ではなく、無濾過海水が流入する屋外水槽で行動観察を行うことが重要です。 アワビ類の産卵期は晩秋〜冬。どんなに寒くても、雪が降ろうとも、アワビ類の行動を明らかにするためには徹夜の観察をしなければなりません。過酷ですが、生物の活動に人間が合わせるというのは、なるほど正攻法なのであります。
 相模湾長井沿岸の小型紅藻群落の底生生物群集調査
サンゴモ類やテングサ類など小型紅藻類の群落は全国の沿岸岩礁域にあります。海藻の丈は10センチ程度と短く、アラメやカジメ、ホンダワラ類などに比べて目立ちませんが、実は小さな生物の棲み場になっています。図中の枠は1辺25センチ。 海藻群落内の生物はエアリフトという掃除機のような器具で、海藻や砂ごと吸い取って採集します。 海藻群落内には1センチにも満たない生物がどっさり。目合い3ミリのふるい上に残る生物だけでも、なんと1平方メートルに数千個体。写真の甲殻類の多くは「カニ類」や「その他の甲殻類」とされてきました。これらを一つ一つ種同定することから研究は「始まる」のです。 アラサキモガニは相模湾長井での採集調査によって見つかった新種。実は、小型紅藻群落から最も多く採集される優占種なのです。120年前から海洋生物の研究が行われてきた相模湾でも、まだ十分に調査されていない場所がたくさんあるようです。
 調査や学会発表のための遠征
研究テーマによっては国内のあちこちを飛び回り、調査遠征三昧となります。例えば、小型紅藻群落内の生物調査は、相模湾長井だけでなく、宮城県牡鹿半島でも行っています。 石垣島でも、海藻群落の生物調査を行っています。調査でいろんな場所へ遠征できるのは、海で囲まれた日本で、海洋生物を研究する者ならではの特権かもしれません。
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